Stenbider
Stenbider 。
デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの
北は北極圏まで生息するこの奇妙な魚。
この時期に出まわる北欧の珍しい魚です。
魚屋で1尾20クローネ。日本円で約440円です。
高くて1尾丸ごとなんて買えないデンマークでは驚くほど安いです。
安さの秘密は後述しますが、味はなかなかでした。
実はこの魚はデンマークでは有名で
デンマークのスモーブロー(オープンサンド)
のトッピングに良く使われる偽キャビアの魚です。
デンマークやスウェーデンでは
チョウザメの卵でなくてもキャビアと称して売ってます。
一昨年の冬に漁港でこの魚を見かけたんですが、
その時の漁師さんの話では
卵だけとって身は商品にならないので
たいていは捨ててしまうということ。
写真の様に産卵時期になるとメスのお腹は筋子の赤色に染まってます。
今年70歳のデンマーク人エリックがこの魚を見るなり、「ナイス!」と!
彼いわく身もスモークにしたりするととても美味しいんだそうです。
小さい頃からこういう奇妙な特に深海系の魚の図鑑ばかり見ていたので、
30近くになっても興味をそそります。
日本名はどうやらなさそうですが、どう見ても見た目はアンコウ。
アンコウ科の硬骨魚類の証拠に鱗はなく、
サメを代表するように楯鱗という軟骨魚類に特有の鱗があり、まあいわゆる鮫肌です。
きっとアンコウのように脂がのってて、肝も美味なんだと思い料理してみました。
さばく前に気づいたんですが、見るからにオスのStenbider でした...。
気を取り直して捌いてみると、やっぱりアンコウのような軟骨魚類特有の大きな浮き袋が!
浮き袋は魚が上下に移動する際の
水圧変化に対応するための気体の入った肺の様なもので
中国では乾物にしてますよね。
身は驚くほど硬く、脂もすごいのっていました。
筋子はあるわけないですが、立派な肝ともちろんオスにしかない白子が!
日本でも鱈やフグ、アンコウの白子といえば、酢の物、汁物、鍋物、焼き物などに使われます。
Stenbider の肝と白子の煮付け
Stenbider 1尾
出汁 1
酒 1
みりん 1
薄口 1
しょうが 1かけ
肝、身は塩を振って、水分が出たところで軽く熱湯をかけます。
落し蓋をし中火の弱火で。
身はしっかりしていて、脂ものっていて煮物より、
焼き物にしても良かったかもしれません。
グロテスクな魚ほど美味いといいますが、
アンコウを最初に食べた人はすごい!
今食卓に並んでいるのは昔の人が
きっとこうやって、美味しいかどうかを探求した結果なんでしょう。
来年はアンコウ鍋ならぬStenbider 鍋でもやってみます。
by silga | 2008-01-28 18:02 | Stenbider